僕は彼女をこよなく愛している
「最初は、実陽が小6の時だったらしい。
でも、お袋さんと話し合って何とか許された。
2回目は、実陽が中1に入学して少し経った頃。
俺は、兄貴がチームの総長しててさ。
ずっと兄貴にくっついてたから、中1の時は既にチームに所属してたんだ。
乃庵も仲良かったから、あいつら成り行きだけどな。
そんな俺達に、実陽が声をかけてきた。
“俺を仲間に入れてくれって”」

「そう…なんですね」

「その時の実陽は、既に悪魔みたいだった。
目に光がないっつうか…妙に据わってて、周り全てが敵!みたいな。
兄貴が喧嘩を教えた。
そしたら、あっという間にチームの誰よりも強くなって、更に恐ろしくなってったんだ……
その頃からほとんど家に帰らず、学校も行かずにチームの奴等の所を泊まり歩いてて…
多分、親父さんといたくなかったんだろうな。
で……中3の夏くらいかな?
親父さんが、3回目の不倫をしたんだ。
しかも、その現場を見たのが実陽だった」

「え……じゃあ…」 

「あぁ。
その場で親父さんに詰め寄って、追い出したんだ。
それから実陽は、家に帰るようになってお袋さんの傍にいるようになって、高校からはちゃんとするようになったんだ」

「そうなんですね…
…………そこまで、詳しいことは知らなかったです…」

「だから…
“そんな親父さんに”実陽が会おうと思えるなんて…
よっぽど“それよりも”霞月が好きなんだなぁって……!
“霞月に言われたから”会ってあげたってことだし」

「……/////」

「羨ましいなって思ってよ」

「え?」

「“そんなふうに想える相手に出逢えたこと”」

「………でも、琢三くんは嫌いですよね?
縛られること」

「まぁ、そうだな」

「ふわふわしてますもんね」

「ふわふわ?(笑)
なんだ、それ…!」

「捕まえても、飛んでいきそうですもん。
だから“そんなふうに想える相手に出逢えたても”やっぱり、合わないってゆうか…窮屈になってそうです」

「そう?」

「はい。
実陽みたいな恋愛は、周りが全く見えなくなる。
恋は盲目って言葉、そのモノですもん。
私も基本一人が好きなので、窮屈な時があります…
…………あ!この事は、実陽には言わないでくださいね?」

「あ(笑)あぁ!」

霞月に言われ、琢三は微笑んだ。

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