僕は彼女をこよなく愛している
「何のために、お洒落するの?」

好きな人(実陽)に“可愛い”って言ってもらうため」

「え?」

「じゃないと、私はお洒落なんかしない。
面倒だもん。
実陽も知ってるでしょ?
私の性格」

「あ…そ…だよね…!」

「あ、そうだ。
今日ね、琢三くんに会ったの」

「え?」

「お買い物して、ココア飲んでたらたまたま…
それで、家まで送ってくれたの。
実陽のお土産の話したら、○○のパン屋さんのドーナツが好きって聞いたから買ってきたよ。
食べよう?」

「あ、うん」

「冷蔵庫に入れてるの。
夏だから、悪くなるかなって。
取ってくるね」

「あ、じゃあ…僕が取ってくる。
ココアも入れようね」

「うん…ありがとう」
(なんか…様子が…おかしい?)

霞月の頭をポンポンと撫で、ベッドを降りた実陽。
皿にドーナツを入れ、ココアも入れてテーブルに置いた。

「あ、実陽。
温めた方が良かったんじゃないかな?」

「あー、大丈夫だよ。
冷たくても美味しいから」

「そっか」

「るなちゃん、頂きます!」

「うん。
…………ん、ほんとだ。美味しいね」

「うん、懐かしい」

「………」

「ん?るなちゃん?」

「どうしたの?」

「え?」

「なんか、元気ないから」

「…………
ううん。そんなことないよ!」

琢三と会ったことを包み隠さず言ってきた霞月に、実陽は(そうだよ!やましいことがあるわけがない!)と思い直し微笑んだ。

「ご両親と、どうだった?」

「あ、うん」
実陽は、父親とのことを話した。
すると霞月は、ふわりと微笑み「良かったね」と言って実陽の頭を撫でた。

ドーナツを食べ、実陽がいつものように後ろから抱き締めキスを繰り返す。

「実陽、くすぐったい…」

「だって、好きなんだもん!
……………」
そして霞月の肩に顔を埋めた。

「実陽?」

「ねぇ…シャワー浴びない?」

「え?
もしかして!私、臭い!?」

「え?あ、違うよ!」

「でも、確かに歩き回ったから汗臭いかも?
ごめんね…
離れよ?」

「え!?やだ!!!
それに、臭くないって!」

「じゃあ、どうしてシャワー?」

「シたいから」

「え/////」

「ね?シたい…!
それに………」

「ん?」

「ううん!
ほら、行こ?」

そう言って、霞月を抱き上げた。


それに……
サブちゃんの匂い、消したいから………!


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