僕は彼女をこよなく愛している
その後―――テレビを流しながら、霞月はスマホ、実陽は霞月を後ろから包み込んで、なんとなくテレビを見たり、霞月にちょっかいかけるように髪の毛で遊んだり、首にキスしたりして時間を過ごした。

「るなちゃん、髪伸びたね!」
髪の毛に触れ、優しく手櫛でとく。

「あ、うん。
入学前に髪の毛は切るよ」

「へぇ~!
どんな髪型にするの?」

「ショート」

「そっか〜!
きっと、可愛いんだろうなぁ〜」

「………」

「ん?」

「………ねぇ、言うまでもなく、来ないでね?」
振り向き言った、霞月。

「え?」

「美容室。
“一人で”行くからね」

「えーーー!!」

「………」
(やっぱ、来る気だったか……)

「あ!僕も髪の毛切る!」

「は?」

「るなちゃんと同じ美容室で切る!
予約する時、二人分してね!」

「………」

「やっぱ、ダメ?」

「………ダメ」

「うぅ…
いいじゃんか!」

「“一人で”行く」

「………わかったぁ…」

シュン…とあからさまに落ち込む実陽。
なんとなく可哀想になり、実陽の霞月が頭を撫でた。

するとパッと顔を上げ、嬉しそうに笑った実陽。

「フフ…るなちゃんが、頭撫でてくれた〜」

「実陽も伸びたね」

「そうだね。
だから、一緒に……」

「でも、恥ずかしい」

「そう?」

「それに、可愛い美容師さん多いし。
ヤキモチ妬いちゃうから」

「え!?
るなちゃんより可愛い人って、この世に存在するの?」

「は?」

「るなちゃんが一番可愛くて、綺麗だよ!
贔屓目なしで!
てゆーか!るなちゃん、自分の美しさを自覚するべきだね!
僕は毎日、心配なんだよ……
るなちゃんが誰かに拐われないかって……
それもあって、一人は止めときなって言ってるんだよ?」

「でも私、無愛想だし、いつも“機嫌悪そうに見える”って言われて、可愛くないよ?」

「その人がおかしいんだよ!
るなちゃん、確かにポーカーフェイスだし、クールだけど……
僕にはわかるよ?
るなちゃんの微妙な変化」

「うん、そうだね。
実陽はよく私のこと見てくれてるし、よく感じ取ってくれる。
私と違って、表情豊かで、いつも微笑んでて、明るくて。
人気者だもんね」

「フフ…るなちゃんに褒められると、照れるなぁ〜//////」

「………ねぇ…」

「ん?なぁに?」

「…………嫌いに…ならないでね……?」
体勢を変えて実陽に向き直り、実陽の服をキュッと握った霞月。

「え……るな、ちゃん…?」

切なそうに見上げる霞月。
その手を優しく取り、指を絡めて握って、実陽は安心させるように微笑んだ。

「当たり前でしょ?
絶対!あり得ないよ!
僕の方が、るなちゃんに惚れてるんだから……!
てか、るなちゃんは愛想がないんじゃなくて、興味あることにしか反応しないって感じだし。
だって、サブちゃんやアンくんとは比較的話せるでしょ?二人は、るなちゃんのことを“クールなだけで普通じゃん”って言ってるんだよ?
だから、不安にならないで?
そのままのるなちゃんでいて?
大丈夫だから……!」

顔を覗き込み、額をくっつけた。

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