僕は彼女をこよなく愛している
霞月の言葉に、実陽は固まる。

当然、実陽は何も聞かされてなかったからだ。

「るなちゃん、将来って……」

「実陽も聞いて」

「え?あ、うん」

霞月は一度深呼吸をして、再度両親を見据えた。

「私は、人付き合いが苦手です。
人嫌いではないんですが、人が怖くて……
私は小さい頃から、色んな人達に囲まれて生きてきました。
“可愛い”ってよく言ってもらえて、小学生の頃からよく告白もされてました。
…………でも、みんな私の外見しか見てくれなかった。
私は元々から気が小さいというか、人と対面しても何を話していいかわからなくて。
お付き合いしてても、ほとんど私から話しかけることはない。
だから“こんな女だと思わなかった。一緒にいてもつまんない”ってよく言われて、ふられてたんです。
それから人がもっと怖くなって、人付き合いを諦めるようになって……
そんな時に、実陽さんに出逢いました。
実陽さんは、いつも私に沢山話しかけてくれます。
私みたいな冷たい女に、温かく笑いかけてくれます。
癒やしてくれて、支えてくれます。
実陽さんは、甘えん坊で優しくて穏やかで、心が広い人。
そんな実陽さんが、大好きです……!
…………だから、将来。
私は実陽さんのお嫁さんになりたいと考えてます。
お義父さん、お義母さん。
こんな私ですが、実陽さんを精一杯幸せにします!
受け入れていただけますか?」

霞月の言葉に、両親は微笑み大きく頷いた。

「霞月さん。
それは、こちらのセリフです。
僕は、妻と実陽を裏切った人間です。
しかも、一度じゃない。
傷ついた実陽の心を癒してくれたのは、霞月さんです。
ありがとうございます!
僕もこれから精一杯、妻と実陽に償うつもりです。
その機会をくれたのも、霞月さんです。
実陽のこと、末永くよろしくお願いします!」

「霞月さん、あなたのおかげで実陽とちゃんと向き合えてます!
ありがとうございます! 
私からも、末永くよろしくお願いします!」

そして、丁寧に頭を下げた。



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