僕は彼女をこよなく愛している
風呂が沸き、好実が実陽に先に入るように促す。
「実陽、先どうぞ?」

「え?
“一緒に”入るんだよ?」

「は?嫌」

「でも~、節約のために一緒に入った方が良くない?
ほら!“親に援助してもらうんだから、節約しないとだね”って、るなちゃん言ってたじゃん!」

「え?」

「ね?もちろん、毎日なんて言わないからさ!」

「………」

「ね?入ろーよぉー!」

「今日は…勘弁して…」
(心の準備が…)

「フフ…わかったぁ!」

クスクス笑いながら実陽は、着替えを持って風呂場に向かったのだった。


実陽が上がり、霞月も入り……
洗面台の前で髪の毛を乾かしていると、ドアのノックの音がして「るなちゃーん!」と声が聞こえてきた。

ドライヤーを切って、ドアを開ける。
「何?」

「淋しいから、ここいてい?
僕が、髪の毛乾かすから」

「うん」
そう言って、ドライヤーを渡す。

実陽が霞月の後ろに立って、髪の毛を乾かし始めた。
実陽の優しくて大きな手の感触が、心地よくて眠くなってくる。

思わず、あくびをしてしまう。

「わぁ…//////あくびだ!
可愛い〜!!」

「あ…ご、ごめん…」

「ううん〜!
るなちゃんのあくび、貴重〜!
しかも、口ちっちゃいね!可愛いな〜!」

「あ、あんま、見ないで…」

「フフ…疲れちゃったよね?
今日、卒業式終わって、そのまま引っ越しだったからね(笑)
じゃあ、ねんねしようね〜」

櫛で霞月の髪の毛といて整え、頭をポンポンと撫でた実陽。
「ん!可愛い!
完璧だね!」
そう言って歯ブラシを取り、霞月に渡した。

そして………ベッドに向かう。
「るなちゃんは奥ね?
僕がホールドするけど“万が一”ってことがあるから」

頷いて、奥に座る。
「寝よ、るなちゃん」

「うん。
あ、でも待って。スマホ取ってくる」

「スマホはダメ!
僕とねんね!」
立ち上がろうとする霞月を制す。

「でも、実陽は手に持ってるじゃん」

「だってスマホ持ったら、るなちゃん、僕の相手してくれないもん」

「相手って、寝るんだよ?」

「だから!るなちゃんをホールドして頭撫でながら、話をするんだよ?
時々、チュッチュッしたりしてさ!
僕は、ショートスリーパーだから夜中が暇でしょ?
だから、スマホ置いとくの!」

(実陽の頭の中、どんなカップル像が繰り広げられてるんだろ……)
「ホールドされてたら、スマホ出来ないからいいじゃん」

「うん、だからいらないじゃん!」

「………」

「ね?寝よ?」

これ以上言っても、言い合いになるだけだ。
霞月は頷き、横になった。
すると実陽が、霞月の下に腕を挿し入れて抱き締めてきた。

「るなちゃん、おやすみ!
今日から、末永くよろしくね!」

頭をゆっくり撫でながら言ってくる実陽に「こちらこそ」と言って霞月は目を瞑った。

すぐに眠気に襲われ、眠ってしまった。

「フフ…やっぱ、すぐに寝た(笑)
可愛いなぁ……///////」

実陽も頬を擦り寄せ目を瞑り、ゆっくり夜が更けていった。


「――――――――………
あ……おやすみのチューするの忘れてた……!
ま、いいや!明日起きたら、まず一番にしよっと!」

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