あやめお嬢様はガンコ者
結婚相手
グローバルマーケティング部とグローバルライセンス部の準備は着々と進んでいた。
大々的な発表はまだだが今いる薬事部のメンバーには先に告知して、私は久瀬くんと一緒に部屋を移動することになった。

まずは部長補佐を選ぼうと色々考えた結果、私は由香里ちゃん、久瀬くんは原口くんの名前を挙げた。

「え、東ですか?大丈夫でしょうか」

なぜだかそう聞いてくる久瀬くんに、私は「もちろん」と頷く。

「由香里ちゃんがいてくれたら、私はすごく心強いもの。久瀬くんこそ、原口くんで大丈夫なの?だってほら、原口くんの方が一つ上でしょう?」

男の人ってそういうところを気にするのではないか?と懸念したが、久瀬くんはあっさり否定する。

「俺も原口さんがいてくれたら心強いです。補佐とは名ばかりで、原口さんにガッツリ助けてもらおうと思ってます」

そういうことなら、と互いに納得し、由香里ちゃんと原口くんに打診してみた。

二人とも驚きつつ、すぐに快諾してくれる。

「この四人なら、なんだか毎日わくわくしそう!」

明るい由香里ちゃんに、私は早くも気持ちが救われた。

しばらくは四人で相談しながら進めつつ、新たに必要な人材を補っていくことになった。

これまでは海外の支社に任せていたその国の薬事法を、これからはこの部署で全て把握しておかなければならない。
私と由香里ちゃんは勉強漬けになる。

久瀬くんとも毎日同じ部屋で顔を合わせるけれど、仕事の話をするだけで精いっぱい。
そんな日々に、私は久瀬くんへの淡い想いを封印していた。
< 38 / 84 >

この作品をシェア

pagetop