恋するリリー


ある日、自宅に1枚の招待状が届いた。

差出人は、10代の頃のバイト先の先輩だった。

「百合ちゃん、結婚するんだぁ。」

当時からわたしよりも5歳年上の百合ちゃんには恋人が居て、その人と結婚するようだ。

わたしは"出席"に丸を付け、久しぶりの結婚式出席に向けて、準備を始めたのだった。



結婚式当日、方向音痴のわたしはGo◯gle先生のマップを見ながら、会場へと向かった。

そして、やっと辿り着いた結婚式会場には、久しぶりに会う当時のバイト仲間たちが居た。

「わぁ〜!恵麻ちゃん!久しぶり!」
「美奈ちゃん、久しぶり〜!」

「おぉ!西脇ちゃんじゃん!久しぶり!」
「わぁ!笹岡さん!お久しぶりです!」

懐かしさに浸りながら、わたしたちは受付に並び会費を払って行く。

それから会場内に入り、自分の名前を探して席についた。

すると、ふとわたしの右横の席のテーブル上に置かれた紙に書かれた名前が目に入った。

"木下 柊司様"

柊司くん、、、

懐かしい名前に、わたしの心はあの時の気持ちを思い出し、ドキッと小さな音を立てて胸がキュッと苦しくなった。

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