3人のお姫様は、溺愛されまくり⁉︎

太陽とデート

翌日、私はソワソワしながらも太陽さんを待った。
「おはよう、月」
「太陽さん…!おは…」
挨拶しようとすると、口をふさがれた。
「なんで『さん』づけなの?ルナのことは呼び捨てにするくせに、ズルいよ。敬語もなしね。今日は記念すべき俺と月のデートなんだから」
「う、うん。わかった」
「じゃあ行こうか」
恋人つなぎされるのは、私が逃げないようにするためなのかな…?
「月はさ、どうしてルナの召使いになったの?」
「召使いじゃないんですけど…ルナに目をつけられてしまって…ボコボコにされたくなったら、俺の手下になれ的な?」
太陽はいきなり私の手の甲にキスをした。
「な、何やってるんですか太陽さんッッ!」
「罰ゲームだよ。太陽さんって呼んだ罰。それと、敬語の罰」
もう一度手の甲にキスをおとすと、
「これからまた敬語とさんをつけたらキスするからね」
とにっこり笑った太陽だけど…目が笑っていない。おどされているんだ、とすぐにわかった。
「うん」
「よし、いい子。もうすぐ着くよ」
頭を撫でられると、私の長い髪にふれられた。
「きれいだね。この髪飾りでもつけてよ」
オレンジ色のリボンを差し出された。
「あ、ありがとう…」
早速つけてみると、
「どういたしまして。うん、やっぱり月には暖色が似合ってるね。かわいいよ」
お世辞で言っているとわかっているのに、どうしてこんなに嬉しいんだろう。
「いつも一緒に入れないから、俺がいないときは、これで俺を思い出して。そういえば、朝ごはんはもう食べた?」
「食べたよ。だけどヨーグルトとシリアルだけしか食べてなくて…」
「じゃあ、朝ごはん食べて行こうか」
平然と言う太陽に、私は戸惑った。
「え…えっ⁉︎ 私たち、まだ高校生なのに⁉︎ それに、校則違反…」
「ちょっとくらい遅刻しても平気だよ。しかも、『もう』高校生だよ。何食べたい?」
もう食べる気満々だ…!
「な、なんでもいい」
太陽と私は、近くのファミレスに入った。
私はトーストとバターをぬって、口へ運ぶ。
「おいしい!」
「あはは、よかった」
太陽は微笑みながら緑茶を飲んでいた。
食べ終わったら、ファミレスを出て、学校へ向かう。
「学校に行って、何するの?」
「それはお楽しみ」
学校の中へ入ると、空き教室が並ぶ廊下に連れてこられた。
その中に、ひときわ目立つ空き教室がある。
「わ、何ここ…すごい」
「俺が改造した。埃っぽくて地味〜な教室に目をつけて、仲間とな」
「へ〜!」
教室とは思えないほど神秘的で、ガラスのテーブルやハンモックまである。
「でも、先生にバレてるよね…?」
「当たり前だ。だが先生も俺の権力に震え上がり、見て見ぬふりだ。さてと、そこに座ってもらおうか」
太陽はフカフカのソファを指差した。
ソファに腰掛けると、太陽はいつの間にか手にしていたオシャレなコップに、紅茶を注いでガラスのテーブルに置いた。
「い、いただきます」
「どうぞ」
景色は決してきれいではないけれど、紅茶はおいしかった。
「太陽、授業は?」
「平気だよ。まともに受けなくても学校は俺にビビってるから、親にも連絡がいかないし、警察にも通報されない」
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