不実な自由
「しあわせ」ってだれがきめるの?


だれが生まれてきただけで「最高」ってきめたの?


私がこの世に生まれてきたことは、「善」だったのか「悪」だったのか…そして天国だったのか、地獄だったのか。それは私にだけしかわからない…。


ただ一つ言えることは、私が「あの家庭」にいることは地獄の始まり。


私が生まれたのは、真夏の午後、とても暑く蝉の声が聞こえていたそんなある日だった。

その頃の私の家族は両親と父方の祖父。両家の祖父母にとって私は初孫と内孫という名前のもと誕生しました。父が23歳、母が27歳のときの初めての子供でした。難産のすえ生まれて来た私は2700gにも満たない嬰児でした。父と祖父は「男の子」を希望していたようです。まだまだその時代は「長男」が「跡継ぎ」ともてはやされる時代でした。「私」が生まれて来たことで二人はショックを受けたようです。父は男の子の名前しか考えていなく自分の名の一字と初めての一をつけようとしていたらしいですが、当てが外れ私には「奈智愛」という名が付けられました。
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