いじめ…くずれていく
…ケータイのマナーモードは切っておいたのに、いっこうに着信音は鳴らない。
そんな事を考えているうちに、コウの家に着いてしまった。
「じゃあその辺座って、…………」
最後の方は聞き取れなかった。
考え事をしていると、現実が見えなくなってしまうのだ。
「さっきから考え事ばっかしてるけど、どうかしたのか?」
コウが心配そうな顔をして、あたしの顔を覗き込んだ。
「えっ…ちょっとね。友達とケンカしたぁ…」
口の紐が緩んでしまった。
それでも、芽亜利という名前は出せない。
「そっか。…悩みがあったら言えよ?いつでも相談にのるからさ。」
あたしは頷いた。
コウは、突然顔を近づけてきた。
最初はびっくりしたけど、すぐに意味が分かり目を閉じた。