シャドウ4C

そろそろ雪解けが進み、ブーツに雪水が染み込んでくる程に歩きづらいベタついた道を歩く土曜日の午後。

わたしはカラオケ店"歌招き"に向かっていた。

基本的に土日祝日は仕事は休み。

わたしは休日になると、必ず一人でカラオケに行くのだ。

世間では"ひとりカラオケ"で"ひとカラ"とか呼ばれてるんだろうか。

もうそう呼ばれるのは古いのかな?

わたしは今の世の中には、ついていけない。

"歌招き"に着くと、会員証を提示し、部屋を選ぶ。

いつも一人なので、大体案内される部屋は同じなことが多い。

わたしはウーロン茶だけを注文すると、いつも歌う曲をタッチパネルで次々と選曲し予約に入れていった。

わたしは地声が女性の中では低い方で、男性の歌も難なく歌えたりする。

でも、いつも必ず歌う曲はMI〇IAの"アイ◯カタチ"だ。

そして、歌い始めると、スタッフの人がノックして入ってきた。

ただ、注文をしたウーロン茶を持って来てくれただけなのだが、歌っている途中に入って来られると、わたしは気まずくて歌うのをやめてしまうタイプだ。

それから、スタッフの人が退室してから再び歌い始める。

次々と歌い進め、6曲目に18番(おはこ)であるMI〇IAの"アイ◯カタチ"を歌い始めた、その時だった。

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