モノノケモノ
中に入り、言われるがままに真っ白な着物に着替え、あっという間に祭壇に寝かせられた。

生贄だ。

間違いなく生贄にされるんだ。

日和子さんは私の上にまたがって腕やら足やら額に装飾品をつけ、化粧を施していく。

心なしか楽しそうだ。

今は冷静に状況を判断出来ていると思うし、ちゃんと考えることも出来る。

だが、日和子さんを押しのけて逃げ出すことだけが出来ない。

焦っているうちに日和子さんは化粧を完了し、私の頬を手で挟んで目を見つめた。


「もうちょっとしたら儀式が始まりますから、それまで眠っていてください」


私は、意識を失った。
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