モノノケモノ
唐突に目を覚ました私の目に最初に飛び込んできたのは、大きな龍の絵だった。

家の天井に一体何が起きたのかと驚いたが、すぐに神社にいることを思い出す。

しかし、何故龍。

しかも墨絵ではなくフルカラーだ。

なんと派手な。

……っと、そんなことを考えている場合ではない。

幸いなことに日和子さんもいないようだし、今のうちに逃げなければ。

慎重に辺りを見回して祭壇の端に立ち、飛び降りた私は、途中で何かに右足首をつかまれ、バランスを崩して頭から落ちてしまう。

一応手はついたものの勢いは止まらず、したたかに額を打つ。

痛い。

額をさすりながら恐る恐る振り向くと、まだ宙にとどまったままの右足だけが細い鎖で祭壇と繋がれていた。
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