モノノケモノ
「せっかく!

誰もいない脱出のチャンスなのに!」


思わず叫んでしまったが、それでも誰もやってこなかった。

よっぽどこの鎖に自信があるのだろう。

儀式まで見張りはいらないということか。

ふぅっと溜息をつく。

こんなことなら、祖母にちゃんと行き先を伝えておくのだった。

そうすればその時点で引き止めてもらえただろうし。

というか、もっと早く祖母の言葉を思い出すべきだったし、他の種族の特徴についてももっと知っておくべきだった。

猫族の能力が、ヒトを操ることだったなんて。

そうかそうか。

私や祖母から何かを奪うことは出来ないけれど、操って自分から来させることは出来るということか。
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