モノノケモノ
ああ、神様。

もし家に返してくれるなら、もっとモノノケのことに真剣になります。

どの種族がどんな能力を持っているのかとか、モノノケの約束のこととか。

もちろん、秀の父親探しのことも。

……違うな。

今私が祈った、ここの神社の神様は、私のようなモノノケと関わることの出来る人間の命を欲しているようなお方なのだ。

私を家に返すより、私が死ぬことを望むだろう。

ああ!

混乱してきた!

ついでに言うと絶望的過ぎてビックリだ!

一か八か鎖を力任せにガシャガシャと引っ張っていると、足跡が近づいてきた。

祭壇の裏側に回って隠れる。

もちろん、右足は宙に浮いたまま。

超動きづらい。

ギィッと音を立てて扉が内側に開く。

ペタペタという軽い足音と、もう一つ、少し重い足音。

日和子さんと、猫族の誰かだろうか。

足跡はすぐに止まり、声が聞こえてきた。
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