モノノケモノ
「ねぇカナ爺、いないよ?

ここに捕まってるんじゃないのかなぁ?」


「えぇっ!?」


思わず立ち上がった私の目に飛び込んできたのは、思ったとおり秀とカナ爺だった。


「あぁぁ!!

おねえちゃんだー!!」


秀は駆け寄ってきて、ぎゅうっと抱きつく。

片足立ちの私には、もう8歳ぐらいのサイズに成長した秀を受け止められるはずもなく、当然のようにバランスを崩し、秀を抱きしめていたおかげで当然のように頭を打った。

痛い。

おかげで、結局今日は頭の前も後ろも打った。


「なんじゃ、おまえさん繋がれとるのか」


カナ爺が鎖を引っ張る。

私は転んだまま答えた。


「そうだよ。

カナ爺ペンチ持ってる?」


私の上に乗っている秀が、にっこり笑って言った。


「そんなのいらないよ」
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