モノノケモノ
秀は鎖を手に取ると、紙をちぎるように、いとも簡単に引きちぎってしまった。

そしてぽかんとしている私の手をとって引っ張る。


「かーえーろ?」


にこりと笑った。

もう、ビックリするくらい可愛い。

首を傾げた拍子に細い髪がさらりと流れ、頭のてっぺんには天使の輪が光っていた。

ちょっと見とれた。


「う、うん」


なんて可愛い弟なのだろう、とニヤニヤしながら立ち上がる私は、完全に緊張感を失っていた。


秀に手を引かれて本殿を後にしながら、ふと思い出す。


「ねぇ、猫族の人たちは?

見張りしてたでしょ?」


「あぁ、それはねー、」
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