モノノケモノ
えぇー。
しっかりしてる格好なのに意外と無礼だ。
「人の家を訪ねて来たならまず名乗るのがスジってもんじゃないんですか」
その人は一瞬イラッとした顔をしたが、眼鏡のフチをクイッと上げて
「いいでしょう」
と言った。
「私はカラス族の月浦(ツキウラ)と言います」
「こんにちは月浦さん。
ヒト族の由香と申します」
「これで、よろしいですか?」
私がコクリと頷くと、月浦さんはそれでは、と続けた。
「鬼の子を、返していただけますね」
「それは、」
無理です、と言おうとした瞬間、カナ爺の声が聞こえた。
それと、争うような物音。
しっかりしてる格好なのに意外と無礼だ。
「人の家を訪ねて来たならまず名乗るのがスジってもんじゃないんですか」
その人は一瞬イラッとした顔をしたが、眼鏡のフチをクイッと上げて
「いいでしょう」
と言った。
「私はカラス族の月浦(ツキウラ)と言います」
「こんにちは月浦さん。
ヒト族の由香と申します」
「これで、よろしいですか?」
私がコクリと頷くと、月浦さんはそれでは、と続けた。
「鬼の子を、返していただけますね」
「それは、」
無理です、と言おうとした瞬間、カナ爺の声が聞こえた。
それと、争うような物音。