モノノケモノ
しばらくの後、猫さんはやっと私と目をあわしてくれた。

その目の奥に敵対心があるのかどうかは全くうかがえない。


「あなたはそれを言うためだけに来たのですか?」


急に声をかけられてドキッとする。


「えっと、そうじゃないんですけど、その前に、お名前をうかがってもいいですか?」


どうしてモノノケの人たちは自分から名乗らない人ばかりなのだ!

呼びかけづらいだろうが!

猫さんは、おお!と驚いたように言って、


「申し訳ありません。

名乗っていませんでしたね。

私は甚郎(ジンロウ)と申します。

猫族の族長です」


と教えてくれた。
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