モノノケモノ
あっけにとられる私に向かって甚郎さんは、特に今起こった事には触れずにきっぱりと言った。


「どなたがその方のお父様かは存じ上げません。

少なくとも猫にはおりません」


やけに自信満々だ。


「何故そのようなことが言えるのですか?」


「我々は、決して異種族交配をしないと決めております。

そのため、他種族との接触も原則禁止です。

なぜか知りたいですか?」


「是非」


彼は、私の目を見据えてゆっくりと言った。


「あの牢に捕らえられている鬼の子。

あの子の父親が猫族だからです。

我々は過去の過ちを繰り返しません」
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