モノノケモノ
「もう一つ質問をしてもいいですか?」


どうぞ、と甚郎さんが言う。


「あの鬼の子の父親が猫族なのはわかりました。

でも、母親は?母親は誰なんですか?」


溜息をつかれた。


「呆れた。

何も知らされていないのですね。

カラスの気まぐれに付き合わされるあなたに、心の底から同情しますよ。

鬼の子など、さっさと牢に入れてしまえばいい」


そのきつい言い方にはっとして、反射的に秀を見る。

秀は、唇をぐっと結んで、甚郎さんを睨んでいた。

その視線をものともせず猫族の人達は立ち上がり、


「そうそう、鬼の子のことは、月浦に聞くといいですよ。

詳しいですから」


と言ってさっさと本殿を出て行ってしまった。
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