モノノケモノ
「秀、ごめん。

連れてこない方が良かったね」


秀の肩に手を置く。

秀は扉を睨みながら、なんで?と言った。


「なんでって、だって猫の人に鬼の子のことを聞くって時点で秀にひどいこと言われるって気付くべきだったと思うし……」


そもそも、自分ひとりじゃ怖いからって2人を連れて行こうって考えがいけなかったんだ。

だって、春祭りは終わったんだから、猫族が私に能力を使う必要も危害を加える必要もない。

そう言った私に、秀はにっこり笑って言った。


「僕は、おねえちゃんがバカにされたのがイヤだっただけだよ?

あの人、おねえちゃんのことすごい見下してたから」


そして、帰ろう?と手を握ってくれた。
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