モノノケモノ
家に帰るともう夕方で、牢の鬼の子のことで月浦さんを問い詰めに行くのはまた明日にする。

夜の森は怖いから。

なんで素直に教えてくれないんだ、と溜息をついていると、チャイムが鳴った。

はいはい、とまた私が出る。

そこに立っていたのは、昨日私に暴言を吐き、走り去っていった少年だった。


「……何しにきたの?」


「ちょっと出れるか」


彼は昨日と同じ仏頂面で、私に言った。

私は頷き、彼についていく。

彼は特に目的地があるわけではないらしく、ゆっくり歩いていく。


「ねぇ、何しにきたの?」


もう一度聞いてみた。

彼はあぜ道の真ん中で立ち止まり、振り返った。
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