モノノケモノ
「……あのさ、オマエって手品出来たりすんの?」


「はぁ?」


何を唐突に言い出すのかと思ったら。


「え……出来ないけど。

教えてもらえば出来るかもしれないけど、今のところ持ちネタはないよ」


「ふぅん……」


会話が途切れる。

彼は、また言葉を探しているようだ。


「でもさ、昨日オレ見たんだよ。

オマエが、神社から帰ってくるとこ」


見た?

何を?

カナ爺に負ぶわれている私を?

それとも……。


「オマエ、空飛んでたよな」


あぁぁぁぁぁ!

やっぱり!

だって見えないもんね!

カナ爺はモノノケだもんね!
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