モノノケモノ
ただいまー、と言って玄関を開けると、カナ爺が飛び出してきた。


「どこに行っておったんじゃ!

また攫われたのかと思って心配したぞ!」


私は、ははっと笑って手を振る。


「ごめんごめん。

瀬川啓吾って少年と散歩してきただけだよ」


「啓吾……。

あぁ、向こうの家の子か」


カナ爺が思い出したように言う。

私はサンダルを脱ぎ、居間に進みながら尋ねた。


「カナ爺知ってんの?」


前を歩くカナ爺が頷く。


「ああ。

あの子も、5年か6年ほど前まではわしらのことが見えておったんじゃぞ」


「えぇっ!?」


ビックリする私をよそに、平然とした顔でカナ爺は居間の扉を開ける。

なるほど。

道理で、私が空を飛んでいるようなところを見ても驚かなかったわけだ。
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