モノノケモノ
「いいえ?でもあの子は、私のモノですから」


私がそう言った瞬間、奥からパシーンという音がした。

続いて「ギャー!」という泣き声。

秀だ。


「!!ちょっと失礼しますよ」


月浦さんは靴を脱ぎ、きちんと揃えてから廊下を走り出した。


「あ!こら!」


私もあわてて追い掛ける。

廊下のつきあたり、ガラス戸の向こうには、月浦さんと同じような格好の人が3人いた。

1人は仰向けで倒れており、その腕の中には秀がいる。

残りの2人はカナ爺を羽交い締めにしたまま固まっている。

私は秀に駆け寄り、抱き上げた。

それまでギャーギャー泣いていたのにピタリと泣きやむ。

ちょっと嬉しい。
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