モノノケモノ
ハッとした。

よかれと思ってついてきたが、どうやら私が一番弱くて足手まといのようだ。

でも。


「え、でもモノノケは私から何か奪うことは出来ないんでしょ?

ってことは私の命も奪われないって事で私は大丈夫なんじゃ……」


「おねぇちゃん、たぶんそれは違うよ」


「え?」


秀が私をかばうように私の前に進み出ながら言った。


「命を奪えなくても、そのちょっと前までなら出来るとしたら?

それに、おねぇちゃん今まで明星におんぶしてもらってたでしょ。

ってことは運ぶことはできるってことだよ。

たとえそれが乱暴な運び方でもね」


「え……」


しまった。甘かった。

その時、ガサリとどこかの木が鳴った。
< 173 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop