モノノケモノ
一気に緊張が高まる。


「秀、檻の中にいた鬼の子の場所ってわかる?」


秀も緊張しているようだ。

固い声で答える。


「この近くにいるのはわかるんだけど、くわしくはわかんない」


千里眼の精度、そこまで良くはないようだ。

しばし後、何かが起きた。

私の目には何も見えなかったが、族長が身構え、何かを避けた。

族長が振り返り、明星が族長の目線の先に向かって腕を伸ばす。

が、その手は何も掴めなかったらしく、逆に明星が体をくの字に折り曲げて後ろにふっ飛んでいった。

明星は木にぶつかり、そのままその木はボキリと折れた。

それほど太い木ではなかったものの……どんな勢いで投げられてるんだ。
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