モノノケモノ
私は目の前にいる秀にひそひそと話しかける。
「ねえ、何か見えた?」
秀は首を横に振った。
やっぱり何も見えないよね。
「あの鬼の子はカラスと猫との子。
カラスの透明が使えるからわしらには見えんのじゃろう」
と、私と背中合わせに立っているカナ爺が、小さな声で教えてくれた。
ということは、私達には打つ手が何もないということだ。
恐い。
今はこちらを向いていないが、あの力がこちらに向いたら、と思うと足が震える。
そんな時に頼りになりそうな明星はどうやら衝撃が強すぎて動けないようだし、族長は鬼の子の素早さに翻弄されているように思える。
今、族長の肩が何かに強く押されたようにガクッと後ろへ下がった。
そのまま族長は仰向けに倒れ、襲い来る衝撃から身を守るのが精一杯の様だ。
鬼の子に一方的にやられる族長をじっと見ていた秀が、スッと一歩を踏み出した。
そして、おねぇちゃん、と私に声をかける。
「どうしたの?」
「おねぇちゃんは、族長さんを助けて欲しいって思ってる?」
「うん」
「じゃあ、助けてくる」
「ねえ、何か見えた?」
秀は首を横に振った。
やっぱり何も見えないよね。
「あの鬼の子はカラスと猫との子。
カラスの透明が使えるからわしらには見えんのじゃろう」
と、私と背中合わせに立っているカナ爺が、小さな声で教えてくれた。
ということは、私達には打つ手が何もないということだ。
恐い。
今はこちらを向いていないが、あの力がこちらに向いたら、と思うと足が震える。
そんな時に頼りになりそうな明星はどうやら衝撃が強すぎて動けないようだし、族長は鬼の子の素早さに翻弄されているように思える。
今、族長の肩が何かに強く押されたようにガクッと後ろへ下がった。
そのまま族長は仰向けに倒れ、襲い来る衝撃から身を守るのが精一杯の様だ。
鬼の子に一方的にやられる族長をじっと見ていた秀が、スッと一歩を踏み出した。
そして、おねぇちゃん、と私に声をかける。
「どうしたの?」
「おねぇちゃんは、族長さんを助けて欲しいって思ってる?」
「うん」
「じゃあ、助けてくる」