モノノケモノ
「お前が助けてくれたのか」


秀はこくりとうなずく。

族長は目を閉じ、長く息を吐き出した。


「まったく、こんなガキに助けられるなんて、俺も焼きが回ったな」


「そんなことより、大丈夫なんですか?

死んじゃったりしない?」


族長は、ははっと笑ってこっちを見た。


「この程度じゃあさすがに死なねぇよ」


緊張した空気がゆるんだ。


そして、私は空中にいた。

< 177 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop