モノノケモノ
だが私は死ぬことはなかった。

落ちる最中で秀に捕まえられ、さらに下で待ちかまえていたカナ爺に柔らかく受けとめられたのだ。

どうやらカナ爺は衝撃を吸収するために先に秀をほうり投げて私を受けとめさせ、十分に勢いを殺してくれたらしかった。

助かったことにより一気に力の抜けた私は地面にへたりこんだ。

しかし、一体何が鬼の子にあのような叫び声をあげさせたのだろう?

私に怪我がないか全身をくまなく確認している秀に何があったのか問うと、秀はまっすぐに私の右側を指さした。


そこには何者かが立っていた。

影の中にいるので顔はよくわからないが、手には光るナイフのような物を持っている。

それを投げて、助けてくれたのか。

その誰かが口を開いた。


「僕のテリトリーでギャーギャー騒ぐのはやめてくれないかな?」
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