モノノケモノ
そう言った彼はずんずんと影から出てきた。
綺麗な銀色の髪にまず目が行った。
そしてそれとは対照的に真っ黒に輝く瞳。
強気に釣り上がった目から感じるのは、『生意気』の一言だ。
私から5mほど離れた位置で立ち止まり、腰に手を当てて私を見た。
近くで見ると、彼の持っているのはナイフではなく、クナイのようだった。
小さな両刃だが、持ち手がなく、細くなっている部分を握って投げるようだ。
「鬼の……」
カナ爺がポツリとつぶやいた。
「何?森の長。
ヒトの子をこんなところに連れてくるなんて、管理不行き届きなんじゃないの?」
彼はさらに生意気な態度で言う。
森の長に対してなんて失礼な。
って鬼の……?
私は、いつの間にか私を守るように私の前に立っていたカナ爺の背中をつつき、小さな声で尋ねた。
「彼が鬼なの?」
カナ爺はチラッと私のほうを見て、小さく頷いた。
「そうだよ。
僕がこの森の鬼、水穂(ミズホ)。
よろしく、ヒトの子」
そう言った水穂さんはふっと笑い、カナ爺を押しのけて私の手を掴んで引っ張った。
立たされた。
立ってみて、彼が私より15cmほど背が高いことに気付いた。
綺麗な銀色の髪にまず目が行った。
そしてそれとは対照的に真っ黒に輝く瞳。
強気に釣り上がった目から感じるのは、『生意気』の一言だ。
私から5mほど離れた位置で立ち止まり、腰に手を当てて私を見た。
近くで見ると、彼の持っているのはナイフではなく、クナイのようだった。
小さな両刃だが、持ち手がなく、細くなっている部分を握って投げるようだ。
「鬼の……」
カナ爺がポツリとつぶやいた。
「何?森の長。
ヒトの子をこんなところに連れてくるなんて、管理不行き届きなんじゃないの?」
彼はさらに生意気な態度で言う。
森の長に対してなんて失礼な。
って鬼の……?
私は、いつの間にか私を守るように私の前に立っていたカナ爺の背中をつつき、小さな声で尋ねた。
「彼が鬼なの?」
カナ爺はチラッと私のほうを見て、小さく頷いた。
「そうだよ。
僕がこの森の鬼、水穂(ミズホ)。
よろしく、ヒトの子」
そう言った水穂さんはふっと笑い、カナ爺を押しのけて私の手を掴んで引っ張った。
立たされた。
立ってみて、彼が私より15cmほど背が高いことに気付いた。