モノノケモノ
水穂の話
私がカラスの族長、日垣さんに呼び出されたのは、水穂さんが捕まってから一週間後だった。
たぶん、私が毎日毎日カラスの洞窟の入り口でウロウロしているのがうっとうしくなったのだろう。
初めはそれなりに愛想よく私に対応してくれていた通りすがりのカラスの人たちも、3日目からは全く見かけなくなった。
一緒にいてくれる秀が時々ピクリと何かに反応しているのを見ると、たぶん『透明』になって移動していたのだと思う。
相変わらず威圧的な扉の前まで私を誘導した月浦さんは、この間と同じようにさっさと立ち去ってしまった。
前回と違うことと言えば、秀が隣に立っているということぐらいか。
私の右手をぎゅっと握ってくれている。
その手に励まされるように、私は目の前の扉を叩いた。
返事は、ない。
たぶん、私が毎日毎日カラスの洞窟の入り口でウロウロしているのがうっとうしくなったのだろう。
初めはそれなりに愛想よく私に対応してくれていた通りすがりのカラスの人たちも、3日目からは全く見かけなくなった。
一緒にいてくれる秀が時々ピクリと何かに反応しているのを見ると、たぶん『透明』になって移動していたのだと思う。
相変わらず威圧的な扉の前まで私を誘導した月浦さんは、この間と同じようにさっさと立ち去ってしまった。
前回と違うことと言えば、秀が隣に立っているということぐらいか。
私の右手をぎゅっと握ってくれている。
その手に励まされるように、私は目の前の扉を叩いた。
返事は、ない。