モノノケモノ
またか、と思いながら、ゆっくりと扉を開く。
中に入って後ろ手に扉を閉め、周りをうかがう。
誰も、いない。
目の前には書類が高く積まれた執務机があり、部屋の壁は全面本棚。
何も変わっていないように見えた。
私がもう一度またか、と思ったとき、秀が私の手を離し、目の前を横切って執務机の左側へ歩いていった。
本棚の前で立ち止まり、軽く右手を上げたと思ったら勢いよく振り下ろした。
と。
「いてぇ!」
という声と共に日垣さんが現れた。
前回もこんな感じで隠れてたんだろうか。
日垣さんはわき腹を押さえながら空いた手で秀の頭をかき混ぜている。
「お前だいぶ使えるようになったな」
「あんまりおねぇちゃんのこと困らせないでよね」
秀は日垣さんの手をはずし、私の隣に戻ってきた。
くしゃくしゃになった髪の毛を整えてやる。
そんな私たちの姿を面白そうに眺めていた日垣さんは椅子に座り、執務机に足を乗せた。
相変わらず行儀が悪い。
そうして、おもむろに口を開いた。
中に入って後ろ手に扉を閉め、周りをうかがう。
誰も、いない。
目の前には書類が高く積まれた執務机があり、部屋の壁は全面本棚。
何も変わっていないように見えた。
私がもう一度またか、と思ったとき、秀が私の手を離し、目の前を横切って執務机の左側へ歩いていった。
本棚の前で立ち止まり、軽く右手を上げたと思ったら勢いよく振り下ろした。
と。
「いてぇ!」
という声と共に日垣さんが現れた。
前回もこんな感じで隠れてたんだろうか。
日垣さんはわき腹を押さえながら空いた手で秀の頭をかき混ぜている。
「お前だいぶ使えるようになったな」
「あんまりおねぇちゃんのこと困らせないでよね」
秀は日垣さんの手をはずし、私の隣に戻ってきた。
くしゃくしゃになった髪の毛を整えてやる。
そんな私たちの姿を面白そうに眺めていた日垣さんは椅子に座り、執務机に足を乗せた。
相変わらず行儀が悪い。
そうして、おもむろに口を開いた。