モノノケモノ
「鬼がいるのに名前を『鬼の子』にするなんて紛らわしいと思ったからです。

なんなら『悪魔』とかもありますし」


「最初の鬼の子が生まれた頃にはこの辺に『悪魔』って存在は知られてなかったけどね」


突っ込みを入れられた。

しまった、純国産でずいぶん昔からいるモノノケにキリスト教の概念はないのか。


「ま、まあ、それにしたって同じ名前にする必要はないでしょう?」


「今ごまかしたね。

まぁいいよ。

確かに、一番最初の鬼の子は、『鬼』の子供だったよ。

その子は、僕の娘だった」


「その子はどうなったんですか」


結構衝撃的なことをさらりと聞かされたが、内心の動揺を隠して尋ねる。


「森に捨てた。

そうしたら、ヒトの女の子が拾って育ててくれた。

いい子に育ったよ。

200年くらい前だったかな。

寿命で死んだよ。

周りのモノノケ達も、彼女が鬼の子だって知らなかったんじゃないかな」


「ちゃんと育ったんですよね?

じゃあ、どうして鬼の子が乱暴だからって牢屋に入れられるようになったんですか?」
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