モノノケモノ
そうだった。

間違えた。

ヒートアップしたところから一気にしゅんとなった私を見て、族長はやっと笑うのをやめた。


「もういいよ。お前、そいつが成人するまで面倒見ろ」


「本当ですか!?」


思わず笑顔になる私を見て、族長は単純だな、と言った。

失礼な人だ。


「ただし条件がある」


不意に族長はまじめな顔をした。

私も少し緊張する。


「なんですか」


「一つは、そいつの父親を見付けること。

まだ母親しか見付かっていないからな。

あと、一度牢屋にいる鬼の子を見ていけ。

もしそこで気が変わったら」


そこで族長はニヤリと笑った。


「鬼の子はいつでも預かってやるぞ」


……本当にムカつく人だ!


「変わりません!

失礼します!」


私はぐるりと背中を向けて、扉をばたんと閉めた。
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