モノノケモノ
それは異形の生き物だった。

秀とも違う、見たことのない生き物だ。

体が大きくて、筋肉が発達している。

たぶん警護の2人ではかなわないだろうサイズだ。

檻を握る指の爪は鋭かった。

あの爪に少しでも触れていたら大惨事になるところだ。

肩の付け根には真っ黒な、その体には不釣合いな程小さな羽根があった。

カラスの羽だった。


怖い。


今まで考えていた理屈とか、鈴香さんのこととか、全部吹っ飛んだ。

ただ怖かった。

あの爪から、憎悪の目から、早く逃れたいと思った。
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