モノノケモノ
そこからどうやって戻ってきたのかは記憶にない。

気がつくと、私は食堂のようなところにいて、目の前にはマグカップがおいてあった。

中のホットミルクが湯気を立てている。


「秀も、いずれああなるのかな」


私の呟きは、ミルクに落ちる前に目の前に座っている月浦さんに拾い上げられた。


「外見的なことで言うなら、あなたのそばにいる限りああはならないでしょう。

鬼の子の外見は、そばにいるものに左右されます。

何と何のあいのこであっても、カラス族の屈強な者たちのそばにいれば鬼の子はいずれあのような外見になります」


「そういうことじゃなくて、」


目の前にいるもの全てを憎んでいるような、生き物全てをとりあえず殺してしまいたいというような、あんな生き物になるんだろうか。
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