モノノケモノ
学校に行かなくなったのは、些細でよくある原因の積み重ねだった。

入学式の前後1週間、風邪をひいて学校を休んだ。

学校に行ってみたら、グループはすっかり出来上がっていて、しかもどのグループも属するには厳しそうな人達だった。

授業は楽しいけれど、自分が誰にも関心を払われていないものだから、時々連絡が伝わってこないことがある。

家に帰っても母親は勉強しろしか言わないからなんとなく相談もしづらい。

なるべくいい子にしてようと思ったけれど、もうめんどくさくなってしまった。

それに、『いい子』は小学校6年間で十分やった。

学校に行くのをやめてしばらくは近所の公園で時間をつぶしていた。

でも、学校から母親に連絡がいったらしく、すごい剣幕で怒られた。

次の日、私は少しの着替えと持っているお金を全て持って祖母の家に来た。

うちから祖母の家まで電車を乗り継いで1時間半。

そのときも、今みたいに後悔とこれでいいんだ、という気持ちがかわるがわる浮かんでいたのを思い出す。


「まあ、いいか。

もう決めちゃったんだし」


思い切りが良くないのは私の悪い癖だ。

いつもはうじうじしていてもいいけれど、今回ばかりは腹をくくらなければ。
< 67 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop