モノノケモノ
「さて、思い立ったが吉日!狸族のところに連れてってよ」


突如張り切りだした私を見て、カナ爺は慌てた。


「別に狸じゃなくてもいいじゃろう。

それに、狸ってことはないぞ。

絶対にない」


「何ムキになってんの?

世の中絶対ってことはないんだよ?

自分の種族だからって庇っちゃダメだよ」


カナ爺は短い腕を無駄にバタバタさせている。


「庇っているわけではない。

本当に絶対にないんじゃ」


「なんでわかんの?」


「いや、なんでって……。

じ、自分の種族のことくらいわかるに決まっておろう」


「それを庇ってるって言うんだよ」
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