モノノケモノ
「カナ爺、準備できたよー」


秀と手をつなぎ、外に出る。

カナ爺はまだ嫌そうな顔をしているが、自分の言ったことを覆す気はないみたいだ。

そういうところ、すごいちゃんとした人なのだ。


「こっちじゃ」


いったん家の裏にまわる。

カラスの洞窟に行く時も、裏の森から入った。

途中までは同じ道だったが、家からすぐのところで下草の生い茂る道の方へ曲がった。

私はいいが、秀はちょうど草に隠れるサイズなものだから歩きづらそうだ。

抱っこするにはずいぶん重くなったが、可哀想なので抱き上げる。

秀は嬉しそうに抱きついてきた。


「秀、重くなったねぇ」


「ヒトで言うと今3歳くらいか?」


「そうみたい。

ねえ、カナ爺、狸族の集落はだいぶ遠いの?」


「この速さで歩くなら10分くらいじゃ」
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