モノノケモノ
小さいおじいさんの部屋は、入ってきたところの裏に当たる位置にあった。

おじいさんは押入れから座布団を出してくれ、お茶を入れてくれた。


「ありがとうございます」


「ちょっと待っておれ。

他の者たちも呼んでくるからの」


「呼ばんでええわ。

面倒臭い」


「カナ爺!」


部屋から出て行こうとしていたおじいさんはふと立ち止まり、振り返った。


「さっきの耳打ちの時から思っておったんじゃが、なんで金文を『カナ爺』とか呼ぶんじゃ?

失礼じゃろ」


「はぁ?」


「鉄治(テツジ)!」


思わず変な声が出た。

カナ爺は、なんだかオロオロしていて、また手を振り回している。


「どういうことですか?」


おじいさん(鉄治さん、らしい)は不思議そうな顔をして、こう言った。
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