この恋、遊びにつき。
思い返してごらん、結城先生のこと。



先生だって最初は良い人だと思ってた。

話題も豊富で、話してても飽きなくて。

声も低くて子守歌みたいで。

人から嫌われるような人間じゃなかった。

不和が起きても、先生がそこにいれば空気がぱーっと明るくなった。

不思議とみんなが笑うようになった。

そんな先生が悪い人なんて、微塵も思わなかった。



女の人とのトラブルを聞いても、先生は悪くないって思った。


嫉妬心が強い女のせい。

先生を理解できない女のせい。

束縛しすぎる女のせい。


先生はかわいそう。

先生は被害者だ。


何の疑いもなく、そう思ってた。

恋は盲目って恐ろしい。

先生がいったことが唯一の真実になる。

それ以外は、たとえ証明されてるような真実ですら嘘になる。

先生が違うといえば嘘になる。




目が覚めた今だって、

心のどこかで先生が私にしたこと、ひどいって思ってない自分がいる。

誰もがひどいって言ってるのに、

先生が正しいと思うことなら真なんだと、

どこかで信じてる自分がいる。




そうだ。

私には人を見る目がない。

keiさんが良い人か悪い人かなんて、判断できない。

むしろ客観的にとらえれば、

あんなサイトにいる人はきっとみんな悪い人さ。




もう遅いんだ。

前に、進め。

そして、傷つけろ。



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