心の扉
コンコンコン… 扉を叩く。
「私です!」
中から、声がする。
その声だけで分かります。
貴方は・・大学時代の私ですね?
貴方の言いたい事は分かります。
本当に進みたい道があったのに…
遊びに夢中になって笑い転げていた私…
ちょっと、好きな男を作っては…まるで、ゲームの様に、恋愛を楽しんでいた
・・あの頃
貴方は、満たされていなかったんですね?
いつも、諦めかけた夢を 心に抱いていたから…
コンコンコン… 扉を叩く手が震えます。
「貴方は、誰ですか?」
「……」
・・・そう
社会人の私ですね?
仕事は、楽しいですか?
それとも、お金を取る為だけの義務ですか?
きっと、貴方は…楽しいです! と答えるかしら?
だって 貴方の今いる場所は?
そう…嘘のお部屋だから…
抱え切れない程の嘘は…
みんな、この扉の奥にあるのでしょう…
高校生の頃…
「好きじゃない!」と
嘘をついた私は…
又…彼と再会しましたね?
突然の「忘れられないんだ」って言う 彼からの電話
自宅にかかって来て、びっくりしました。
私はあの時、「私も好き」と言って、泣きました。
だって…それは、真実だったから…
色んな所に行ったね…
貴方の部屋で、食事を作って、わくわくしている自分が…
とても、大好きだったよ。
指輪をくれたよね?
「安物だけどごめんな…」
って、すまなそうに…
いつも、腕枕してくれたね?
『ピピピ…♪』
の目覚ましの音…
彼の腕の中で何回聞いたかな?
こんなに長く、男の人と
一緒に居た事なんて、今まで無かったから…
「もう、結婚かなぁ〜?」
何て、少しだけ思ったりしてた。