恋人同盟〜モテる二人のこじらせ恋愛事情〜
クリスマスコンサート
「あー、シングルベルの音がすぐそこにー」

12月15日になり、事務所のデスクでパソコンに向かっていためぐは、聞こえてきた環奈の声に顔を上げた。
まだ彼氏が出来なくて予定がないなら、今夜のロビーコンサートに誘おうと思いつく。

「環奈ちゃん、ひょっとして今夜空いてる?」
「いいえー、合コンにいそしんでます」
「あ、なるほど」
「雪村さんは予定ないんですか?よかったら一緒に合コン行きます?」
「ううん、予定あるの。ごめんね」

合コンには気乗りせず、すぐさま断って一人でコンサートに行くことにした。
定時を過ぎて環奈を見送り、残業しながら時計を見上げる。
コンサートが始まる20分前になると、デスクの上を片づけた。
隣のデスクでは、弦がまだパソコンに向かっている。

「氷室くん、何か手伝うことある?」
「いや、大丈夫。めぐ、何か予定があるんだろ?早く帰りな」
「うん。やることあったら明日私がやるから」
「特にないから、早く行きなって」
「ありがとう。それじゃあ、お先に」
「ああ、お疲れ様」

他のメンバーにも声をかけて事務所をあとにした。
パークに繋がるドアを開けて外に出ると、冬の夜風が吹きつける。

(寒い!でもイルミネーションは綺麗だな)

コートの首元をしっかり合わせると、パークの夜景を楽しみながらホテルへと歩き出した。
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