キミの隣に座っていたい
祖父はやわらかく笑うとゆっくり口を開いた。
「清志くんや香織さんに涼たちの写真、それに手紙が送られてきたんだよ。」
母さん達…
「孫の成長を写真だけで知ってたんだよ…」
御祖父さんは嬉しそうに笑った。
「なんで香織たちが何も言わずに涼くんを育てたと思う?」
といきなり、幸子さんが言った。
俺も聞いたことない…普通なら、他人の子を育てるのに少し抵抗があるはず…
「わからないです…」
と絢が答えた。
「香織はね、病気で赤ちゃんが産めない体だったの…でも、子供が大好きでね…親の反対を押し切って涼を預かったの…」
「そうなんですか…」
と絢が呟いた。
「俺、母さんのこと全然知らなかった…」
なんで言わなかったんだろう?
それから、lilyに向かった。
「いらっしゃい!」
百合子さんが出て来た。今日は百合子さんの計らいで貸し切りになっている。
たくさんお祖父さんと話した。これまでの時間を埋めるように…
「涼よ…わしと一緒に住んではくれないかい?」
とお祖父さんは言った。
「えっ!?」
俺は絢と住んでるから、絢の意見も聞かないと
「一緒に住むのは無理か…」
「どうしてですか?」
「明日から老人ホームに入るんだよ」
「そう…ですか…」
それなら仕方ないよな…
「涼…ひと時でいいから本当のわしの孫になってくれ…」
えっ…?