音楽的秘想(Xmas短編集)
「……ありがとう。心示、何か変わったね。」
「は?何処が。」
「うーんと……何となく、優しくなったかも!」
彼女が出来るのもうすぐなんじゃない、と麻里絵。そうだったら良いなと返し、ずっと言えなかった言葉をふと思い出す。
「麻里絵……ごめんな。」
「……え?」
「あの頃の俺、本当に馬鹿だった。自分のことで精一杯で、麻里絵のこと何も考えてなかった。今更遅いかもしれないけど、謝らせてくれ……本当にごめん!」
顔上げてよ、と言ったあいつは怒っても泣いてもいない。満面の笑みを浮かべて、俺の手を取った。
あの頃は私も悪かったのよ、と麻里絵。自分も子供だったから俺を受け止めきれなかったんだと言うその性格も、全く変わっていない。
「……じゃあ、また何処かで。」
「おう、元気でな。」
「心示もよ。いつか可愛い奥さん紹介してくれるの、待ってるから!」
離れて行く後ろ姿を見ても、もう切なさに襲われることはない。そういえば片付けが残ってたな。くるりと背を向けて、元来た道を歩き出す。
──この先の未来に俺の、そして君の笑顔が、ずっと広がっていますように。
fin.
「は?何処が。」
「うーんと……何となく、優しくなったかも!」
彼女が出来るのもうすぐなんじゃない、と麻里絵。そうだったら良いなと返し、ずっと言えなかった言葉をふと思い出す。
「麻里絵……ごめんな。」
「……え?」
「あの頃の俺、本当に馬鹿だった。自分のことで精一杯で、麻里絵のこと何も考えてなかった。今更遅いかもしれないけど、謝らせてくれ……本当にごめん!」
顔上げてよ、と言ったあいつは怒っても泣いてもいない。満面の笑みを浮かべて、俺の手を取った。
あの頃は私も悪かったのよ、と麻里絵。自分も子供だったから俺を受け止めきれなかったんだと言うその性格も、全く変わっていない。
「……じゃあ、また何処かで。」
「おう、元気でな。」
「心示もよ。いつか可愛い奥さん紹介してくれるの、待ってるから!」
離れて行く後ろ姿を見ても、もう切なさに襲われることはない。そういえば片付けが残ってたな。くるりと背を向けて、元来た道を歩き出す。
──この先の未来に俺の、そして君の笑顔が、ずっと広がっていますように。
fin.