音楽的秘想(Xmas短編集)
 人それぞれだと言われているけれど、僕にとっての“幸せ”の定義とは何だと言われたら、多分こう答えるだろう。

 君といつまでも、一緒に居られること。この笑顔がいつまでも、側にあること。だって、君が居なくなれば、僕の毎日はつまらなくなってしまうから。



「幸成、後で私達も雪だるま作りに行こう!あ、やっぱ雪ウサギね!!里菜に見せるんだー!!」



 おいおい何歳だよ、とツッコミたくなるのを抑え、頷いてやる。君は昔も今もこれからも、ずっとこんな感じなんだろうな。考えたら、妙におかしくなった。

 清しこの夜、街には白銀の粉が舞う。冬の訪れをいよいよ感じさせるそれは、冷たさとは裏腹に、人々の心を温かく染めていく。

 表情をコロコロと変える君だけど、まだまだ僕が知らない表情を隠し持っているのだろう。これからもっと、色んな君を知っていきたい。両手に収まらない程のこの思いを、君は感じてくれているだろうか。



「……旅行、楽しみだね!」



 僕の隣では、君が微笑む。僕達の冬が、これから始まる。



fin.
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