おおかみは羊の皮を被らない
一生の相手
呪いが刻む
『必ず見つける。一生に一人の対なる者。手に入れろ。どんな手を使っても……』
希東(けひがし)高等学校一年生。
大上 遠矢(おおがみ とおや)。
16の歳に親元を離れ、一生の相手を探す旅に出る大上家のしきたり。
16は来ていないが、最近では高校の入学時期に慣行されている。
食っていける財源を手に…俺は、中学までに会社を設立させ軌道に乗せた。
それは一生の相手なんかに縛られず、自由に生きるためだった。
呪いか何かは知らないが、群がってくる女は顔の判別ができないほどに興味がない。
お年頃は事実で、皆に合わせた何かはある。
だから馬鹿にしていた。
一生の相手?
何がだ!!
そんなに必死になってきた奴らの気がしれないと…
彼女に出逢うまで。
呪いを望むほどの愛……
出逢った奇跡。
俺の相手…
一生を共にする。
求めるのが義務のように、その呪いさえ心地よい…
『手に入れろ。どんな手を使っても…』
緑色の目…抗うのは、どうしてなの?
ね、君は…どうして俺を選んでくれないの?
俺の気持ちが呪いの所為?本当に?
選んだのは俺だ……
独りで生きる覚悟があるんだよ?
その気持ちが嘘?偽り?
信じてほしい…
君一人を愛すると誓うから…………
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