おおかみは羊の皮を被らない

この中には、美彩の知られたくない内容が入っている。

知りたい……
しかし美彩は、これのために『なんでもする』と言う。

墨の方をチラリ……
確か墨は、録音と同時に録画も楽しむ。
墨は理解したように、俺にVサイン。

くくっ……
美彩に視線を戻し、ニッコリ笑顔。
録音機器を渡しながら美彩に問う。

「何でも?」

俺の圧力に、美彩は視線を逸らさず小さな声で。

「……何でも。」

何でも!!負けず嫌いの美彩から言質頂きました!

「そう……ふふ。墨、下がれ。」

静かに下がりながら墨が向けた笑顔は、俺達に貴重な時間を与えた満足感か、穏やかに見えた。
やるじゃねぇ~か。

録画は後で、高額で買い取ろう。
まずは、お楽しみが先だよね!!

「さて、美彩ちゃん?」

「なぁ……に?」

珍しく視線は合わせず、顔まで逸らす。

「どうして顔を背けるの。嫌がることは、しないつもりだよ?」

視線を戻した美彩は、無理した笑顔。

「そうだ、二択ね?100回、俺に『好き』と言うか、美彩からのチュウ。もちろんキスは舌を入れてね?さ、どっちがいい。」

今度は、無言で眉間にシワ。
何かを考えながら、俺を睨む……

そんなに嫌なの?


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